「沖縄第一ホテル」〜那覇の宿
2010年01月23日
この記事を読んでおられる内地のみなさんの、那覇の宿はどこですか。
「浮島タウンズ旅館」の閉店記事を書いたのが2008年。那覇における私たち夫婦の常宿が失われました。
便利な街中にあって、宿泊費が手頃なホテルを見つけてこの間いくつか宿泊してみました。
しかし、「浮島タウンズ旅館」のあの清潔なのに気楽で暖い雰囲気は格別でしたし、何よりも朝食のウチナー家庭料理が懐かしく、街のホテルのブッフェ朝食では満足できない身体(笑)になっている自分たちに気づいたのでした。
朝からほかほかのニンジンシリシリが食べられるなんて、私たちナイチャーの観光客にはこの上ない喜びでしたから。
そこでさがしあてたのが、「浮島タウンズ旅館」よりもさらに古くに開業された「沖縄第一ホテル」でした。
このホテルの沖縄朝食はつとに有名ですから、ご存知の方も多いと思います。
ただ、永六輔氏を初め、文化人の贔屓も多いと聞くことがかすかな心配のタネでした。
そういう評判のたった飲食店が、一見(いちげん)客に冷たい対応をするなんてことは、内地ではよくあることですから。
ともあれ、今回の那覇行きで予約がとれたので、泊まってみることにしました。
心温まる朝食を期待して。
12月25日、クリスマス当日は激しい雨が前日から断続的に降る、あいにくの天候でした。
そのため空港からタクシーで向かったのですが、運転手さんは安里(あざと)の狭い通りをスムースに通り抜け、ホテル前に着けてくれました。
ホテルの古い玄関前には思いのほか広い(とはいえ数台分ですが)駐車スペースがあって、なんとなく意外でした。
古い赤瓦の民家を改造したすてきな外観です。
ロビーに入ると、古く大きく頑丈なテーブルがいくつかおかれていて、どうやらここが朝食場所だと見当がつきます。陶器や硝子器がたくさん陳列されていて、一見ごたごたした感じに見えますが、良い道具に包まれているようなこの感覚は、私は嫌いではありません。ま、その道具がロココ調(笑)だったりするとまた違う気分になったのでしょうが。
それにしても暗いロビーです。節電しているのか、と思ったとたん、暗がりから声をかけられました。オーナーはもっと年配の女性と聞いていたので、その娘さんでしょうか、はきはきと歓迎の辞を述べてくださったあと、『停電しているのです』とおっしゃった。昨日からの大雨の影響のようです。
ま、沖縄の古い家屋ではよくあること(ウソ)だと考えて、すぐに修復できるだろうとチェック・イン。一階の部屋に案内されます。
ただ、ゆかしい中庭は水浸しだし、部屋へ向かう廊下には雨漏りがしていて、洗面器?で受けています。女性は『恥ずかしいです』とおっしゃるが、停電と雨漏り…う〜ん、なんだか子どもの頃の台風の夜を思い出してきてわくわくするぞ。
もっとも、時間はまだ午後の早いうちなので、暗くて困るようなことはありません。
通された部屋は古くて床がきしむけれど、存外に広く、大きなベッドが据えられています。
シンプルだけど、「宿」にたどり着いた感覚が素敵です。
ただトイレには明かり取りがなく、扉を閉めると停電故に真っ暗。これは少しヤバイかとよぎるかすかな不安。
とはいえ前日まで仕事だったのでとろりと眠気がさし、夫婦でまどろんでいました。
眠りに落ちてまもなくフロントから電話があり、相談があるとのこと、奥様がまだまどろんでいるので、一人でロビーに向かいました。ロビーには灯りがついています。
女性がおっしゃることを要約すると、
『お泊まりの部屋の棟の停電がすぐには修理できない。同じくらいの料金で近くのホテルを紹介する。』という申し出でした。
(実際はもっと丁寧な説明でしたが。)
うん、それしかないだろうな。
部屋に戻って相談した上で、その提案を受けることにしました。
荷解きはまだわずかしかしていなかったので簡単に準備は整い、車で送っていただくことになりました。
明朝の朝食は準備できるということでしたので、それを楽しみに撤退します。
用意された別のホテルは「第一ホテル」から至近の国際通りの端の位置。
夕食の「てだこ亭」まで歩く距離もまあたいしたことはありません。
(実際には雨がひどくてタクシーを利用しましたが)
翌朝は九時が朝食の予約時刻。
十分ほど早く「第一ホテル」に着いたのですが、もう他の客はおらず、ロビーは私たちの貸し切り状態でした。
ほどなく運ばれてきた朝食は、
わお、
これでもか、これでもかの品数。
それぞれがおいしく、また美しい料理でした。
琉球の伝統を守って、野菜中心のあっさりの味付けでしたので、
最後まで食べきりました。
素材は
オオタニワタリ
オクラ
ドラゴンフルーツ
田芋
長命草
島豆腐の厚揚げ
モズク
…
最後の甘菓子まで、つながり感のある料理でした。
朝食の接待役は主にオーナー。
綿密に計算されたカロリーの説明。
琉球の伝統的味付けの説明。
個々の料理の説明。
などなど、語られるのを聞きながら、
着々と料理をいただく私たち。
う〜ん、満足。
ただ、
このホテルは今年(2010)夏には閉められるとのこと。
一瞬エッと驚きましたが、
秋には別の場所で食事処をオープンなさるとか。
少しだけ安心しました。
閉鎖までにぜひ夕食をここで、と薦められましたので、
夕食にも自信がおありなのでしょう。
となれば、新店も楽しみです。
もっとも、
那覇には一泊だけすることの多い私たち。
その場合の夕食は必ず「てだこ亭」になりますから、
その際にはもう一泊増やす必要が生じてしまいますね。
「浮島タウンズ旅館」の閉店記事を書いたのが2008年。那覇における私たち夫婦の常宿が失われました。
便利な街中にあって、宿泊費が手頃なホテルを見つけてこの間いくつか宿泊してみました。
しかし、「浮島タウンズ旅館」のあの清潔なのに気楽で暖い雰囲気は格別でしたし、何よりも朝食のウチナー家庭料理が懐かしく、街のホテルのブッフェ朝食では満足できない身体(笑)になっている自分たちに気づいたのでした。
朝からほかほかのニンジンシリシリが食べられるなんて、私たちナイチャーの観光客にはこの上ない喜びでしたから。
そこでさがしあてたのが、「浮島タウンズ旅館」よりもさらに古くに開業された「沖縄第一ホテル」でした。
このホテルの沖縄朝食はつとに有名ですから、ご存知の方も多いと思います。
ただ、永六輔氏を初め、文化人の贔屓も多いと聞くことがかすかな心配のタネでした。
そういう評判のたった飲食店が、一見(いちげん)客に冷たい対応をするなんてことは、内地ではよくあることですから。
ともあれ、今回の那覇行きで予約がとれたので、泊まってみることにしました。
心温まる朝食を期待して。
12月25日、クリスマス当日は激しい雨が前日から断続的に降る、あいにくの天候でした。
そのため空港からタクシーで向かったのですが、運転手さんは安里(あざと)の狭い通りをスムースに通り抜け、ホテル前に着けてくれました。
ホテルの古い玄関前には思いのほか広い(とはいえ数台分ですが)駐車スペースがあって、なんとなく意外でした。
古い赤瓦の民家を改造したすてきな外観です。
ロビーに入ると、古く大きく頑丈なテーブルがいくつかおかれていて、どうやらここが朝食場所だと見当がつきます。陶器や硝子器がたくさん陳列されていて、一見ごたごたした感じに見えますが、良い道具に包まれているようなこの感覚は、私は嫌いではありません。ま、その道具がロココ調(笑)だったりするとまた違う気分になったのでしょうが。
それにしても暗いロビーです。節電しているのか、と思ったとたん、暗がりから声をかけられました。オーナーはもっと年配の女性と聞いていたので、その娘さんでしょうか、はきはきと歓迎の辞を述べてくださったあと、『停電しているのです』とおっしゃった。昨日からの大雨の影響のようです。
ま、沖縄の古い家屋ではよくあること(ウソ)だと考えて、すぐに修復できるだろうとチェック・イン。一階の部屋に案内されます。
ただ、ゆかしい中庭は水浸しだし、部屋へ向かう廊下には雨漏りがしていて、洗面器?で受けています。女性は『恥ずかしいです』とおっしゃるが、停電と雨漏り…う〜ん、なんだか子どもの頃の台風の夜を思い出してきてわくわくするぞ。
もっとも、時間はまだ午後の早いうちなので、暗くて困るようなことはありません。
通された部屋は古くて床がきしむけれど、存外に広く、大きなベッドが据えられています。
シンプルだけど、「宿」にたどり着いた感覚が素敵です。
ただトイレには明かり取りがなく、扉を閉めると停電故に真っ暗。これは少しヤバイかとよぎるかすかな不安。
とはいえ前日まで仕事だったのでとろりと眠気がさし、夫婦でまどろんでいました。
眠りに落ちてまもなくフロントから電話があり、相談があるとのこと、奥様がまだまどろんでいるので、一人でロビーに向かいました。ロビーには灯りがついています。
女性がおっしゃることを要約すると、
『お泊まりの部屋の棟の停電がすぐには修理できない。同じくらいの料金で近くのホテルを紹介する。』という申し出でした。
(実際はもっと丁寧な説明でしたが。)
うん、それしかないだろうな。
部屋に戻って相談した上で、その提案を受けることにしました。
荷解きはまだわずかしかしていなかったので簡単に準備は整い、車で送っていただくことになりました。
明朝の朝食は準備できるということでしたので、それを楽しみに撤退します。
用意された別のホテルは「第一ホテル」から至近の国際通りの端の位置。
夕食の「てだこ亭」まで歩く距離もまあたいしたことはありません。
(実際には雨がひどくてタクシーを利用しましたが)
翌朝は九時が朝食の予約時刻。
十分ほど早く「第一ホテル」に着いたのですが、もう他の客はおらず、ロビーは私たちの貸し切り状態でした。
ほどなく運ばれてきた朝食は、
わお、
これでもか、これでもかの品数。
それぞれがおいしく、また美しい料理でした。
琉球の伝統を守って、野菜中心のあっさりの味付けでしたので、
最後まで食べきりました。
素材は
オオタニワタリ
オクラ
ドラゴンフルーツ
田芋
長命草
島豆腐の厚揚げ
モズク
…
最後の甘菓子まで、つながり感のある料理でした。
朝食の接待役は主にオーナー。
綿密に計算されたカロリーの説明。
琉球の伝統的味付けの説明。
個々の料理の説明。
などなど、語られるのを聞きながら、
着々と料理をいただく私たち。
う〜ん、満足。
ただ、
このホテルは今年(2010)夏には閉められるとのこと。
一瞬エッと驚きましたが、
秋には別の場所で食事処をオープンなさるとか。
少しだけ安心しました。
閉鎖までにぜひ夕食をここで、と薦められましたので、
夕食にも自信がおありなのでしょう。
となれば、新店も楽しみです。
もっとも、
那覇には一泊だけすることの多い私たち。
その場合の夕食は必ず「てだこ亭」になりますから、
その際にはもう一泊増やす必要が生じてしまいますね。
Posted by gadogadojp at 18:30│Comments(0)
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