美鈴:紀伊長島の格別民宿
2010年03月28日
「小宿について、そして美鈴について」
ヤドカリカラ揚げ
小さな旅館や民宿〜つまり「小宿」は、
誰もがお感じになるように、
自分と宿との相性がすべて。
デザインのセンス、
清潔さ、
部屋の広さ、
立地、
風呂・食事…
客によって物差しが違うように、
小宿だって自己主張するから厄介だ。
宿は国道沿い。ダンプが走るとさすがに音は室内まで。
宿は浜まですぐ。その浜は近年黒砂利を入れて広くなった。前回目撃したウミウシのオレンジや黄色の産卵はもう見られないのか。その砂利の出所も気になる。
大きな宿ならやや無機質化、相対化、ワンオブゼム化される余地があるが、
小宿訪問ではその余裕がなく、
客はバリケードはおろか盾も役に立たず、
サランラップかオブラート一枚で己を守ることで精々、
ほぼむき出しでその宿と向き合うことになる。
ましてその宿の主人や女将が個性的な場合、
とりわけ濃い〜人物であった場合、
客である「私」が圧倒され卑屈になるようでは、
何のために旅に出て宿に泊まり、宿代をはらうのか、と、
首を振りながら帰り道を辿ることにもなりかねない。
その小宿だってむき出しだから。
ところが、
自分の物差しがどこいらにあるのかは、
小宿体験を積んでいってはじめて見えるものだから、
小宿づかいの上手な人は、けっきょく、
旅の上手であるだけでなく、
自分あしらいも上手な人であるといえる。
ような気がする。
さて本日ご紹介するのは、
ひとくせふたくせの主人と女将が待ち受ける、
(褒めてます)
紀伊長島の民宿「割烹の宿 美鈴」。
個性溢れるご夫婦と、
その息子夫婦だけできりもりする、
全四室の宿。
泊まったら最後、
あなたはもう逃げられない〜〜〜〜
笑。笑。笑。
でも小宿好きだが贅沢はしない私の経験の範囲で、
ここほどのレベルの小宿は、
十指に満たない。
まして民宿に限れば。
大胆かつ繊細でへんこなご夫婦が
(褒めてます)
『料理だけは手を抜かない』などとおっしゃりながら、
廊下に花を活ける。
部屋のサッシを二重にして国道からの騒音を減らそうとし、、
客室数を削ってもてなしの密度を高め、
モダンなカウンターなど共用スペースを拡げ、
静かにジャズを流す。
もちろん料理は文句無し。
料理の飾りの花や松葉一本を自分で摘み、
からすみづくりのためのボラを釣り、
ヤドカリを漁り、
朝のみそ汁に焼き石を入れる。
前菜の盛り合わせ。真ん中がマンボウ。マンボウは今や紀伊長島の名物。水っぽいが淡白で優しい。その他満載の海の珍味は、他の宿では食べられないものがいっぱい。
中央が名物ヤドカリの刺身。ねったりと甘い。
自家製カラスミ。なんと言ってもこれこそが美鈴のウリ。晩秋から初冬にかけて産卵したものを仕込むから、いただく季節によって熟成度は異なる。今回はかなり熟成が進んでいた。美味。
カキ。三月はもっとも旨味の乗る季節だと女将。赤いものはトマトケチャップ。オイスターカクテルの応用?
握り寿司。サバ寿司が出されることもあり、これもうまい。他にも、つみれの椀ものや天ぷらが届けられたあと
フグその他でしゃぶしゃぶ。もう腹がパンクしそうだ。酒はビールとオリジナルブランド「飛水」(冷酒)をオーダーした。
こんな宿をつくりたい!と定めて、
一路突き進んだ結果だから、
もちろん個性むき出しの小宿。
合う合わないはあなたの運次第。
だから一度は泊まってみる価値があると思うよ。
ふふ。
でもとにかく、
小宿は相性がすべて。
なかでも民宿は、
相手のオウチにお邪魔するわけですからそんなもんです。
(タダではないが)ためして見ましょう。
なお、どうせこの宿に泊まるなら、料金は奮発しましょう。
他では食べられない料理をいただきにいくのですから。
わたしたちは一泊二食18900円の料金で頼みました。(込み込み)
料理写真は二人分です。
朝食。ボリュームはありますが腹にもたれません。あとで珈琲もいただけます。
みそ汁。焼き石をご主人が入れて、30秒待てばできあがり。
かわいい部屋着。
「割烹の宿 美鈴」
三重県北牟婁郡紀北町紀伊長島区三浦297-4
TEL:05974-9-3031
FAX:05974-9-3877
息子さん制作のホームページ
もより駅は三野瀬だが、普通列車しか停車しない。
紀伊長島駅から送迎あり(HP参照)
車の場合はR42。
私たちは運良く?貸し切り状態。
だから食事は一階の広間ではなく、二階のカウンターに大きなテーブルをセットしてそこでいただきました。
グループで宿を貸し切りにされたら、
海を見ながら朝食がとれるかもしれません。
Posted by gadogadojp at 18:30│Comments(0)
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