「カフェ・ワヤン」はウブドの老舗レストラン

2011年09月03日

「カフェ・ワヤン」と25年前のウブド

ミナミ・クルタでワヤンクリッを見た後は、ウブッ(ウブド)の老舗「カフェ・ワヤン」で遅い夕食をとることにしました。


「カフェ・ワヤン」はウブドの老舗レストラン

   2011、ガゼボ


ワヤンさんのカフェという名のこのレストランカフェは、なんでも1986年開業だそうですから、今から25年前のことになります。

その頃のウブッは道が舗装されておらず、道ばたの水路はたいていふたがなくむきだし、散歩には気をつけなければなりませんでした。
モンキーフォレスト通りを一瞥すると、まるでアメリカの西部劇によく出てくる砂埃だらけの荒涼としたタウンのようでした。

けれど西部劇とまったく違うのは、通りに並ぶ簡素な店舗の店先には、判で押したようにカラフルなモビールがぶら下がっていたこと。
一歩店内に入ると、これまたどの店も大同小異な木彫の土産物が置かれてほこりをかぶっていたこと。(でもとても欲しくなるものがいっぱい)

店のおばさんやおねえさんの売り込みは熱心きわまり、西部劇のタウンよりうんと活気はありました。
頃合いの価格まで値切るのはなかなかたいへんで、現在のウブッのような上品な店を見つけるのは難しかった記憶が鮮烈です。
今は、市場にだけそのころの強引なふっかけが残っていますね。


「カフェ・ワヤン」はウブドの老舗レストラン

   2011:がゼボ席でビンタンビール、ピーナツ美味


こんな風に書いてみると、
なんだか不愉快で魅力の無い町だったように思えるかもしれませんが、
ところが当時のこの町では、少し目を遠くにおけば、いたるところから水田の景色が見えていました。
あひるやにわとりが我が物顔に走り回っています。
モンキーフォレストの森をはじめ、こんもりした森にも事欠きませんでした。
ほこりの匂いもしましたが、吹き抜ける風はさわやかな緑色です。
一歩路地に入れば、観光化されていないふつうの民家が並び、人々はわたしに優しい笑顔を見せてくれました。
川や溝にゴミはありましたが、それはバナナの葉だったり紙だったりで、
今のような分解不能なゴミが川岸に溢れているようなことはありませんでした。

そしてそれより何より、この町にはとんでもない磁力がありました。
いえこれを当時は言葉にするのも難しかったのですが、
最近流行の言葉を使うと、当たらずと言えども遠からず、
「スピリチャルなパワー」に満ち満ちていたのです。
なんでだかわからないけれど、ここにいることが幸せ〜
そんな感じの町でした。
(嬉しいことに、そのパワー感は現在もまだ失せずに周囲に残っています。)


「カフェ・ワヤン」はウブドの老舗レストラン

   2009:ジュース


さてそのような昔のウブッ散歩では、トイレ休憩や、疲れた足を休めたり、のどの渇きをいやす場所が不可欠なのですが、
初バリ、初インドネシアの旅行者だと、これは少し難問でした。

ラヤ・ウブド通りに出れば、お洒落な「NOMAD(ノマド)」は1979年にすでに開業されていましたし、その他にもぽつぽつとカフェがあったのですが、欧米人がぎっちり座り、昼からカクテル飲んでパスタ食べてる雰囲気が強くてあまり気が進みませんし、ちょいと休憩するには大げさ。

インドネシアではおなじみの小さな売店は(今のウブドではほとんど見つからないけれど)何カ所もあって、ぬるい飲み物でのどの渇きを潤すだけならこれで十分だったのですが、砂埃から逃れてホッとするわけにはいかず、トイレを借りるのはなんだか申し訳ないような気がしました。

そんな時にモンキーフォレスト通りで見つけた「カフェ・ワヤン」は、もちろん観光客目当ての店ではあるけれど、ゆったりした座席配置、ローカル色豊かな内外装と食事が、バリに来た歓びを実感させてくれたものでした。池を渡るようなトイレの位置にも何だかわくわくしました。
今考えると、まだ生まれたばかりの新しい店だったのですね。
ワヤンさんと言う名は男性にも女性にも使われますが、この店の名のワヤンさんは女性だと聞いています。観光客がバリに期待する雰囲気をみごとに具現化されたのは、女性のセンスのおかげだったのかもしれません。


「カフェ・ワヤン」はウブドの老舗レストラン


「カフェ・ワヤン」はウブドの老舗レストラン

   2009:スコールの中のカフェ・ワヤン:
   ご覧の様子ですから、蚊はいますよ



結婚後、妻と三度訪問しました。
その内一度は、雨季のスコールから逃れるための避難所として。
あとの二回は夕食利用です。
前述のように、ワヤンクリッの後など、町歩きの途中にわずかな徒歩でたどりつく便利さは相変わらず重宝します。

店の入り口にはケーキのショーケースが置かれています。
その横の通路を進むと、左側にはテーブル席があり、ここはふつうのレストランと変わりません。
さらに庭を奥に進むと、ウナギの寝床のような細長い敷地には草木がびっしりと植えられ、ガゼボ(独立した東屋)が点在しているようなレイアウトです。
この雰囲気は夜になると最大の効果を発揮します。
薄暗い庭のガゼボの各テーブルに置かれたろうそくの揺らめきがロマンティックです。
ただし暗過ぎるので、私が持ち歩くコンパクトデジカメの能力を超えますから、良い写真は持ち合わせておりません。


「カフェ・ワヤン」はウブドの老舗レストラン

   2011ナシ・チャンプルー


食事は、欧米食もそろっていますが、ここはやはりナシ・チャンプルーやミー・ゴレンのような定番インドネシア料理がお薦めです。
欧米人仕様のボリュームですから、若い人でなければこれら一品に飲み物をプラスすれば腹が満たされます。
料理のレベルは、昔はともかく今となっては卓越しているとは言えません。他にもっと美味しい店はあります。しかし、どれを頼んでも大きくはずずことはないだろうという安心感と、この素晴らしい雰囲気を加味すると、あまり遠出をしたくない夜のカップルや家族連れのゆったり食事の場合など、一度は訪問されて悪くない店だと思います。

特に他客との接近を避けたい、群れたくないツーリストには良い店です。



下書きの段階でアップするという失敗を今回も繰り返してしまいました。
おわびします。


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Posted by gadogadojp at 18:30│Comments(0)グルメ
 
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