民宿おもろ:与那国島

2012年01月20日

民宿おもろ:与那国島

天候の良くない三日間でしたが、私は平気


与那国島の「民宿 おもろ」
いい宿、いえ好きな宿とまた出会うことができました。

昨今では、宿の利用者による率直な評価(レビュー)はネット上で簡単に見ることができますから、
私はここでは少しまわりくどい紹介をしてみたいと思います。

与那国島の主な集落は三カ所。
海底遺跡探索の拠点久部良(くぶら)、コトー診療所の建つ比川(ひかわ)、
そしてもっとも人口の多い祖納(そない)。
「民宿おもろ」は、この祖内集落の県道沿い、たいへんわかりやすい位置にあります。
昨年末、私たちは初めての与那国の旅の宿にこの民宿を選びました。


民宿おもろ:与那国島



私はこれまでたくさんの民宿に泊まってきました。
ウィンタースポーツに関心の無い私は、
山や高原では温泉旅館に泊まることが多く、
民宿といえば海辺のイメージがあります。

周囲に漂う海の空気に、室内にいても隔てられることなく曝され、
質朴でも心のこもった手料理をいただいて、
無事一夜を過ごせれば、
次の日もまたすっきりと海を眺めることができます。

今回の津波で大きな被害を受けたはずの三陸海岸沿いの民宿には
とりわけ若い日の温かい思い出が詰まっていますが、
最近では民宿を利用するのはほぼ沖縄の海近くだけになりました。


民宿おもろ:与那国島

広い共有スペース=食堂はベンチ式で足を伸ばせるから私は嬉しい。奥にはDr.コトーの衣装が


どなたもご存知のように、
民宿の魅力、あるいは魔力の有無は、
その宿の家族の醸し出す個性が自分に合うかどうかで決まるのですが、
内地の民宿はおしなべて垢抜けし、
(例外はもちろんありますが)言い換えれば生命力を失いました。
その吸引力が残る宿はむしろやや高価な<小宿>と呼ぶべき存在に変身してきているからです。


民宿おもろ:与那国島



沖縄の民宿独特の「ゆんたく」は宿泊客相互の交流をも促すもので、
これは小宿では体験できず、それはそれで楽しいのですが、
別に無ければ無いで旅の歓びを損ないません。
私の場合一人で、あるいは連れとだけで感じる旅の楽しさはありあまるほど手に入りますから。
民宿に泊まる私の最大の心地よさは、
宿の主人とそのご家族が作り上げるその宿の個性を楽しむことにあります。


民宿おもろ:与那国島

たいへん珍しい土間廊下造り


また、ハード面では、
部屋の造りは多少なりとも独立感があり、
共用スペースは気楽に座り込めるだけの余裕がある〜
そういう宿が一番好きです。
建物の古さや部屋の狭さは、民宿ですから何の問題にもなりません。
ただ、人をもてなす稼業である限り、最低限の清潔さだけは求めますが。


民宿おもろ:与那国島

板張りの部屋は居心地が良い。上部の隙間はガラス?でふさがれていました。もちろん会話は筒抜けでしょうが、ここは民宿。この気配りで十分では?


私がここまで縷々のべて来たことは私の認識と私の好みに過ぎませんが、
同じような嗜好の持ち主なら、
この「民宿おもろ」は申し分の無い宿になるはずです。
ただ一点、宿とその主人の個性があなたに合うかどうか、
その(重要な)要素を除いては。
そのためのヒントをさしあげましょうね。


民宿おもろ:与那国島

シイラのカルパッチョ


私たちがお世話になったのはクリスマス当日。
空港に迎えに来てくださった女将の<まーちゃん>は、
『(クリスマスに与那国に来られる)お二人は新婚ですか?』
と車中でいきなり質問なさったのには心の中で吹きました。
『いいえ旧婚です(笑)』と妻が答えましたが、
私はこの瞬間、この宿に決めた甲斐があったと喜びました。
好奇心を率直に表してくださるのは何とも有り難いことです。

他に客のいない夜が二日間続きました。
最初の晩に
『食事はどうします?
(さびしいなら)他の店で食べてこられてもいいですよ。』
とさぐってくれます。


民宿おもろ:与那国島

シイラの刺身


一晩目の食事にシイラのカルパッチョが運ばれ、妻が大層気に入りました。
二晩目の食卓にシイラの刺身が並びました。
『奥さんがはまられたとおっしゃるから』。

ヨナグニウマの乗馬体験をしきりに勧めます。
病気からの回復途上の妻にどうかな、と考えていると『癒されますよ』

海底遺跡や人面岩の話題になり、さて人工物かどうか心の中で思案していると
『何か感じるかどうか試してください』

島唐辛子をどこで買おうか思案中の私に『ここで買ってください』

『沖縄の食べ物に馴染んでおられるから』と運ばれたのは、この島の米味噌(白みそ)の汁。麹の香りがプンとした甘めの優しい味。これはなるほど食べたことがありません。寒い(笑)与那国の12月には何よりのごちそうです。


民宿おもろ:与那国島

左奥は島唐辛子。美味い。




民宿おもろ:与那国島

パパイヤチャンプルー:女将の料理の腕の良さがわかります。


たった二晩、短い会話を交わした方の人柄を、
すっかりわかったように判断するのは不遜だと私は思います。
ただこの宿の女将<まーちゃん>からは、
客の人柄や嗜好を理解してもてなしてあげようという心映えを感じたことだけは確かです。
そして客がどのような好みを持っていても察知できる繊細なアンテナを備え、
これに対応しても崩れない頑強な我をお持ちであることが感じ取れました。

宿泊客で賑わう夜なら夜で、
女将のパワーは客全員に向けて全開になる予感がします。
きっと人間がお好きなんでしょう。


民宿おもろ:与那国島




さあ、どうですか。
この民宿に泊まりたくなりましたか。
それとも敬遠したくなりましたか。

私たちは、
きっと次回もこの宿を予約します。

鼻歌歌いながら料理される女将に会いに。


民宿おもろHP
女将の通販サイトゆいどぅい



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Posted by gadogadojp at 18:30│Comments(0)宿/ホテル
 
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