浜坂の民宿「緑風荘」でカニを満喫した:その1
2012年03月10日
まだギリギリ間に合います、松葉ガニ!
漁期は三月二十日まで、です。
急なカニ旅行でした。
妻が知人から良い民宿の情報を仕入れたのが2月の末でしたから。
昨年の晩秋に退職した妻の慰労と誕生日祝いを兼ねて、
急遽その民宿「味の宿 緑風荘」にネットで予約を入れました。
三月になるとさすがに客足は減っているようです。
1)和泉市から湯村温泉へ
往路の集落の雪景色
三月四日。雨。
大阪府和泉市を10時頃に出発し、
近畿自動車道〜中国自動車道を行きます。
カニが待っていますので軽めのランチを食べ、適宜休憩しながら、進みます。
舞鶴自動車道福知山ICで降りてからは国道9号線をひたすらたどります。
途中の峠越えでは、まだまだ残る雪景色を堪能し、
湯村温泉到着が3時前頃。
ここから目的地の浜坂までは近いので、
共同浴場「薬師湯」で一風呂浴びました。
この湯の入浴料は400円。タオル類等は別途料金になります。
改装されてまだ数年と新しいため、広く明るく清々しい浴場でした。
源泉かけ流しを謳う泉質もなかなかです。
小さいながら露天風呂も用意されています。
狭隘な温泉街の真ん中の共同浴場ですが、思いのほか駐車場も広く、
旅行者にも立ち寄りやすくできているこの浴場はおすすめできます。
2)浜坂「味の宿 緑風荘」へ
「緑風荘」の正面
浜坂の町の中でわずかに道に迷いながらも、すぐに宿は見つかりました。
浜辺に残る大きな松林の南東角、をめざせばわかります。
よく手入れされた建物はいわゆる民宿のレベルを超え、立派な小宿に見えます。
客室は二階。西向きの部屋からは松林が見えています。
室内は広くはなく、調度備品もシンプルですが、清潔です。
日曜の宿泊ということで、この夜は私たちの貸し切り状態でした。
廊下にはわずかながらカニの匂いが漂っています。
この「緑風荘」は、夫婦による経営です。
この日は一人の息子さんも手伝っておられました。
<カニソムリエ>のご主人は仕入れや調理が主体のようです。
女将は(料理もなさるのでしょうが)接客担当。
浴室は温泉です。
「源泉が高温なので、加水しています」と書いた紙が貼られていました。
今は温泉フリークが増え、かけ流しかどうかの問い合わせがあるのでしょうね。
そうです、浜坂には温泉が湧いています。
古い歴史は無く、近年の地下水ボーリングの副産物ですが、
湧出量が多く、町内各戸に温泉が配管されているすてきな町です。
3)カニ三昧
夕食は一階の広間でいただきます。6時スタート。
部屋食の宿だと、食後も焼きガニの甲羅の焼けた匂いがしみついてしまいますので、私はこの方が好き。
すでにカニ料理の準備が整っています。
まずは上の写真の刺身からいただきます。
甘エビとカニの下に刺身が隠れています。
流水でさらし、身をはじけさせたカニ足はもちろん美しいのですが、女将はここで楽しい趣向を見せてくれました。
私たちが刺身鉢のカニを食べた頃をみはからい、
ほんとうはこちらの方が美味しいのです、と鍋用の脚を一本とりあげ、
端をポキンと折って引っ張ると、脚肉がするすると途中まで剝ける。
生きてるカニじゃないとこうきれいに剝けないのです、といいながら、私にさらに引っ張れと言う。
その通りしてみると、ほとんど抵抗無く殻と身肉が分離し、私の手には食べやすい身肉だけが残った。
それを口に入れてみると、はい、明らかに、一旦流水につけて花を咲かせたさきほどの刺身より甘い。
と、いうようにですね、
この宿では万事この親切で話し好きな女将の指示指導に従って食べれば、
まちがいなく美味しいカニにありつけるというシステム(笑)になっているのです。
まだまだエピソードには事欠きませんが、
残りは、ご自分でこの宿を試して体験して下さいね。
続いて焼きガニに挑戦。
これまた上手に焼けば、殻と脚肉とがたやすく分離できることと、
そういう食べ方をしておけば、
私が好きではない殻の焦げる匂いを嗅がなくて済む事を学びました。
いえ、もう一つ条件がありました。
この宿のように、生きたカニだけを用意してくれなければ無理なのです。
合間合間に、甲羅に広げて温め済のカニ味噌を食べます。
二人で三バイ分が食卓に。
そのままで、あるいは身肉をつけて。
そして、買っておいて持ち込んだ(もちろん許可を得て)「香住鶴純米」を注いで炭火で少し温めていただきます。
至福です。
続いて鍋にいきます。
冬の日本海の鍋の喜びの一つは、
寒さに耐えた野菜類のおいしさを味わう事です。
白菜の甘さはもちろん、菊菜(春菊)もたいへん肉厚で、少しくらい煮ても緑を保ついい出来でした。
カニですか?
もちろん、このようないいカニは煮すぎる事は禁物です。
ほどよいところで鍋からあげると、止らぬ美味しさです。
次いよいよ茹でガニにとりかかります。
二人で二ハイ用意されていた茹でガニは、お持ち帰りされるかたが多いですよ、と女将に聞いていました。
でも、一日置くと少し味が…ともおっしゃる。
脚の一本だけでも食べておかれては?と。
私たちは1パイは持ち帰り、1パイは続けて食べる事にしました。
帳場に、解体してくださるよう声をかけると、ご主人と女将は不在。
かわりに、息子さんが包丁をふるって食べやすくしてくれました。
私は素朴な茹でガ二が、蟹料理では一番好きです。
その味の濃さ、舌触りの滑らかさ、ほのかに香ばしい蟹臭さが好きなもんですから、
茹でガニについてはちっとばかりウルサイ(笑)のです。
子供の頃、松葉蟹がいまほど高価でなかった時代にはよく食べさせてもらいました。
城崎から列車で帰る途中、腐らないように窓の外に吊るして持ってかえったりしたものです。(私ではなく、親の工夫ですが)
サラリーマン時代に冬の鳥取や島根に出張に行くと、
市場のおばちゃんにいいカニを選んでもらって、
夜になるとビジネスホテルの客室に一人こもって食べておりました。
その経験から申すのですが、
この「緑風荘」の茹で松葉ガニは最高級ではありません。
甲羅に貝がびっしりとついた大きな老蟹(?)の味の濃さにはかないません。
料金が違います。
しかし、はちきれそうに身の入った上々のカニ、
まちがいなく活きの良いカニを、
心をこめて大変上手に茹でられたカニであることは間違いありません。
一泊二食25000円内外の料金で、
茹でガニに限らず、これほど質の良い活けガ二をいただけるのは、
私たちには幸運がついていた、と確信を持って申せます。
「緑風荘」さん、ありがとう。
この宿を教えてくださった妻のお友達、ありがとう。
さて、食事時間が長くなり過ぎました。
女将の片付けが遅くなってしまいます。
最後に、もちろん旨すぎる雑炊をいただいて、今夜の食事は終わります。
解体された茹でガニ
長くなりますので、続きは次回に。
宿の情報もそちらをご覧下さい。
Posted by gadogadojp at 18:30│Comments(0)
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