空の庭プチホテルのレストラン:岳温泉
2012年10月28日
福島県安達太良(あだたら)山の山麓、
標高500~600mの斜面の一角に岳(だけ)温泉があります。
郡山駅、福島駅から車で45〜6分、東北自動車道二本松ICからだと20分ほどで到着する便利なポジション。
夏無(なつなし)川が削った谷間が南側の展望を開いているのびやかな高原。
その岳温泉の入り口付近に、「空の庭プチホテル」が建っています。
名前の通り、11室程度の小さなホテルなのですが、
露天風呂付きの部屋があり、木立に囲まれた、ちょっと気になる宿で、
カップルにとっては魅力があるのではないかと思います。
このプティホテルには、宿泊棟とは別棟で、ショップとレストランが併設されています。
このレストランは、宿泊客以外も利用できます。
私は一人旅でしたので、系列の「空の庭resort」のシングル部屋に泊まったのですが、
他に食事処が少ない温泉場だったたため、ある日の夕食をいただくことにしました。
まだ明るい時間帯に、予約せずに店内に入りました。
応対して下さったギャルソンは落ち着いた雰囲気の方で知識も豊富。安心できます。
店の奥には落ち着いた雰囲気のテーブル席がずらり並んでいるのですが、
私は入り口付近のカウンター席を選びました。
一人客という気兼ねもありますが、それよりも、綺麗に人手が入った庭が一望できるからです。
私はオーダーを決めていました。
情報源を忘れましたが、この店では「福島牛」のステーキが食べられると聞いていたからです。
無念きわまる出来事によって、いま福島の牛を食べるのは、若い世代には薦められませんが、
私はもうかまわない年齢。
食べてみたかったのです。
メニューには「特選福島和牛サーロインステーキ」と書かれていて、
120,150,180,210gと四段階。
値段は、120gで4000円。210gで6100円。
これが妥当かどうかは、食べてみなくてはわかりません。
スープ、サラダ、プチデザート、ドリンク付きです。
なお、他のメニューを一つ紹介しますと、
「空の庭ハンバーグステーキ」が1680円でした。
店内の高級感に比較して、こなれた価格ではないかと思います。
ただ、ステーキ以外には「地元産」と銘打った料理は一切ないことが、
地産地消の難しい福島の悲しい現状を表しているのかもしれません。
グラスワインを飲んで待ちます。
温かいパンが運ばれて来ました。おいしいパンです。
スープはカップ、サラダは数種の野菜。
ステーキがやってきました。レアで頼んでいます。
どうです?おいしそうな焼け色でしょう?
二層になっているように見えます。炭火のような焼き上がりですが、さて適切な焼き方なのか片側を焼き過ぎたのか。
ナイフを入れると、きっちりと弾力が戻って来る元気な牛肉です。
とはいえ、硬くはありません。
レアではなく、ミディアムレアの焼き上がり。
でもこの誤差、私はかまいません。いつも覚悟の上です。
赤身の肉の味はしっかりしていて、牛肉の香ばしい香りがプンと。
つまり、熟成不足の弾力ではなく、元々健康な、サシの少ない牛なんでしょう。
望む所です。
調味は塩胡椒だけ。
4片に分かれている内1片だけが火の通し過ぎで塩も強かったところが、やや細心さの欠けたところ。
しかし総じて私好みの肉で満足です。
仕入れ先を尋ねて買って帰りたいくらいでした。
これを読まれた方、この店のステーキはおいしいですよ。
しかし福島の牛を誰にでも食べてもらう訳にはいきません。
応援したいし放射能は怖い。
店としても、もちろん検査済みの牛肉を食べさせているはず。
しかしメニューに「放射線量検査済みなので安心です」などと書けばかえって不安をあおる…
このような思いをさせる原発事故への恨みは尽きません。
福島産の食べ物がいつか安心していただけるその日まで、たとえばこのレストランの苦闘は続きます。
日本の他の地域にまで同じ運命が訪れないよう、祈ります。
原子力発電所はすべて廃炉にすべきです。
「空の庭プチホテル」
〒964-0074
福島県二本松市岳温泉2-56
TEL:0243-24-2217
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Posted by gadogadojp at 18:30│Comments(0)
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