郵便名柄館の「テガミカフェ」

2016年05月16日

奈良県御所市の古くからの集落、名柄(ながら)の一角に、
2015年5月、
築百年を超える郵便局を再生させた資料館とカフェがオープンしました。


郵便名柄館の「テガミカフェ」

    雨の日でしたからやや暗く写っていますが、明るくかわいい建物です。


再生のいきさつの詳細はこちら郵便局舎の再生事業に詳しく掲載されています。
要は、郵便局の移設に伴い、古い建物の保存を願う人たちががんばったということです。
その運動の主体は地域(吐田)の皆さん。

この名柄を含めた一帯は、1889年から1956年まで、吐田郷村(はんだごうむら)と呼ばれていました。
その構成は名柄村、豊田村、森脇村、宮戸村、西寺田村、多田村、東名柄村、増村、関屋村。
地図で確かめると、西端が大阪府との県境(水越峠)まで及ぶ広い村です。

その水越峠から東へ流れ落ちる川が水越川。
奈良盆地に流出して形成したのが吐田扇状地。
扇状地の豊かな水は、稲作だけでなく酒(「葛城酒造」)や醤油(「片上醤油」)、豆腐(「梅本豆腐店」)などのおいしい食材を生んだのですが、
村の商業的中心地が名柄集落だったと思われます。
かつては旅館も三軒あったといいます。


郵便名柄館の「テガミカフェ」



郵便名柄館の「テガミカフェ」

郵便名柄館が面する旧道には古い街道の面影が満載です。葛城山や金剛山の山体もどん、と見えています。一言主神社から名柄小学校のあたりまで歩かれることをおすすめします。



その名柄の旧道が交わる地点には名柄神社や旧家・巨木が今も残り、
名柄郵便局が建っていたというわけです。

ここは南東の名峰金剛山に向けての郵便物まで配達した拠点になっていたといいますし、
人家も多く、商業も発達していたようですから、
当時の郵便業務はなかなかの盛況だったことでしょう。


郵便名柄館の「テガミカフェ」




1975年に業務を終えて30年が経ったのに取り壊されもせず、
かわいい薄桜色の建物に生まれ変わったのですから、
郵便局も本望だったのではないでしょうか。
この建物が「郵便名柄館」です。


郵便名柄館の「テガミカフェ」




そういういきさつですので、
館内には、この土地・建物の所有者の池口家が提供した古い郵便グッズが多数展示されています。
中庭には郵便配達夫の銅像まで立っていて、雰囲気の盛り上げは十分です。
切手コレクターや郵便フリークは必見かもしれません。


郵便名柄館の「テガミカフェ」



郵便名柄館の「テガミカフェ」




建物内にはカフェが併設されていて、その名も「テガミカフェ」
旧吐田郷の米や醤油、豆腐、野菜などを使った地産地消のランチやスイーツが人気を呼んでいます。
わたしたちは当日に電話して、ランチを予約しました。


郵便名柄館の「テガミカフェ」



この日のランチの内訳は、
野菜たっぷりチキンバーグ、揚げ高野と野菜の塩こうじおろしだれ、たけのこと豆の春色キーマカレー、キャベツと大豆のごま酢サラダ、豆腐の豆乳ツナマヨソース、吐田米のごはん、みそ汁、漬物、小さいデザート、ドリンク(珈琲など)。
これで1200円。まずまず満腹です。
吐田米が精米したばかりでしょうか、とてもおいしく、
野菜も元気なので、地元のおいしさをじわっと味わうことができました。

なお、コーヒーを単品で注文すると、オリジナルの切手(使える)がついてきます。
店で手紙を書き、店前のポストに投函すればいいのです。
完璧でしょ?

郵便名柄館の「テガミカフェ」

  奥様撮影


0745-60-8386
奈良県御所市名柄326-1 郵便名柄館内
11:00~16:00
火曜・水曜定休
駐車場有〜郵便名柄館から旧道を南に数十mの左手に、フェンスに囲まれた駐車場があります。入り口が狭いので、北向きに進んだ方が入りやすいです。




 
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