「ピエン」( Pien):白浜の本気のイタリアン

2018年10月29日

白浜町や田辺市を中心に、紀南の食事情を短く連続的にアップしていきます。簡単に書くのは私に時間の余裕がないことが理由で、いずれ近いうちにもう少し詳しく各店舗について書いていくつもりです。


追補:「ピエン」の新しい記事はこちらです。


「ピエン」( Pien):白浜の本気のイタリアン

「バーニャカウダ」:今回の写真は全て「フェスタバーニャカウダ」の際のもの。通常のコースではありません。2018年2月の特別企画です。バーニャカウダをまずいただき、その後でメニューから自由にアラカルトを選ぶ方式でした。今年は寒い冬でしたが、最後に温まることができました。地場産の野菜の元気良さが写真でお判り願えれば良いのですが。


「ピエン」( Pien):白浜の本気のイタリアン

追補:「ピエン 」の最新記事

紀南白浜町にある素晴らしいイタリア料理店です。
正式な店名は「Ristorante più Osteria Pien」(リストランテ ピユ オステリア ピエン)ですから、
一軒家リストランテであり、さらにオステリアでもある、というコンセプト・心意気なのでしょうか。

店内に入ると、すぐに目に入るのが気軽なオステリアのエリアで、厨房により近い奥のドアの向こうにはさらにシックなリストランテの部屋があります。
ぜんたいに淡い色でまとめた内装と一軒家を生かした窓の多さから、紀南の風土にマッチした明るい印象の店です。
正確に確かめたわけではないのですが、例えばパスタランチをいただくならオステリアで。ランチでもコースでいただくならリストランテで、といった使い分けをなさっているのかなと思っています。

二つの部屋を合計すると中規模なグループでも訪問できそうな広さがありますが、そうはいきません。
といいますのも、この店は平日は荒井シェフお一人で切り回しておられるから。
土日にはマダムまたは他のスタッフが入るのですが、厨房は一人。
大勢で押しかける店ではありません。
そういう意味で予約が望ましい(ディナーは必須)店でもあります。


「ピエン」( Pien):白浜の本気のイタリアン


「イカスミのリゾット〜イタリア米で〜」:イタリア、特にポー川流域は米の産地です。「ピエン」のリゾットは心底美味しいと思います。加えてイカスミ好きな私たち夫婦ですから幸せでした。妻の撮影。


シェフの経歴の豊かさは素人の私も驚くほどで、中でもあのマルケージ氏をケレン味なく「オヤジ」と呼んで慕っているご様子は、いっそ清々しい気分になる程です。
そのイタリアでの修行先はミラノの三つ星「マルケージ」を含め北イタリア各州が中心であったようで、これまた私が知ったかぶりして書くことではありませんが、この店の料理は主に北イタリア料理であり、「新イタリア料理(ヌオーバ・ クチーナ)」と考えておけばそうズレはないのではと思っています。


「ピエン」( Pien):白浜の本気のイタリアン

「皮なしサルシッチャ(ソーセージ)」:ハーブの香り高く


私は25年ほど前一度だけイタリアに旅したことがあります。鉄道のみを利用した10日間ほどの旅でした。
スイスからベルニナ急行でイタリア入りし、ミラノは列車の乗り換えだけ。
ヴェネツィアとフィレンツェに泊まったあとは、やはり列車で海を渡り、旅の半分はシチリア滞在でした。
帰路はナポリに立ち寄り、夜にローマに着いたものの翌朝は飛行機で日本へ。
何を書いているかというと、北イタリアをほとんど知らないということなのです。
(ティラーノからコモ湖畔を通ってミラノに向かうのどかで美しい風景は忘れられませんが、残念ながら真っ当な食事をする時間はなく)

ですから「本場」イタリア料理と聞いてすぐに思い出せるのは南部の料理。何よりトマト味。そして豊かな魚介類を使った料理(アクアパッツァ!ウニのパスタ!)。そして盛り上がったヘリが香ばしいナポリ風ピッツァ。土の香りがするようなシチリアのワイン。
全体にやや野暮ったい印象ですが、調理の繊細さよりも素材の旨味をあんぐり大口を開いて全身で食べた印象が強く残っています。

それに対してここ「ピエン」さんでいただく北イタリア料理は、下ごしらえに手がかかったであろう料理を繊細で上品に仕上げてある印象です。一つのハーブ・香辛料が突出することなく、ハーモニーを奏でているようです。しかも見た目が美しいので、リストランテでコース料理をいただくのがふさわしいと感じます。


「ピエン」( Pien):白浜の本気のイタリアン

「仔牛のトリッパと地うずら豆の煮込み」:ピントがスプーンに当たってますが、これは私の加齢のせいで申し訳ないことです。私はトリッパが好物。初体験は神戸六甲アイランドにあったリストランテ「イゾラベッラ」でした。シチリア帰りに店名に惹かれて入った店でしたが、「イタリアのホルモン美味しいなあ」という関西人らしい感想を持ちました。当店荒井シェフは、かなりクセを抜いていますので物足りないかもとおっしゃいましたが、それでも十二分に楽しめました。600円です!


さてそのような良質のお店ですが、紀南の食材を自在に使っておられます。
肉類、魚介類、野菜類、お茶など、この地ならではの食材も使っていますので、その点もお楽しみに。
地場の産物を主材料に使い、マルケージ氏仕込みの本格的北イタリア料理の精神と技術で調理する、そういうお店だと私たちは受け止めています。


個々の料理について書きたいこともありますし、
荒井シェフとマダムのお人柄についても書きたいし、
私たちが好きな紀南の様々な飲食店のセンター的な役割を果たしておられることを書きたいし、
ここで季節ごとに開かれる小さな食事会のことも書きたいのですが、
それはまた後日、ということにしておきます。

「ピエン」( Pien):白浜の本気のイタリアン

「ピエモンテのココアプリン”ブネット”」:アマレッティを砕いて入れてあると聞いたような


本日の最後はこの店で食事をいただく場合のある種の心得について書いておきます。
・予約が望ましいことは上述しました。
・ドレスコードが必要な堅苦しい店ではありませんが、本気のイタリア料理店です。店内では最低限のマナーを守って食事しましょう。
・おしぼりはもちろん箸の用意はありません。ライスもありません。ピッツァもありません。爪楊枝もありません(笑)。
・(パスタランチを除いては)パスタだけの注文はできません。
・店の外観はすこぶる控えめです。通りすがりに見つかるような派手な看板などありません。
・白浜の温泉街ではありません。夜は暗く静かなエリアです。
・ワインの用意はありますが、ドライバーのためのノンアルコールドリンクも美味しいです。
・都会から来られた本格イタリア料理ファンの方は、価格に驚かれることと思います。




「ピエン」( Pien):白浜の本気のイタリアン

カップのセンスがとても良いと思います


「Ristorante più Osteria Pien」

アドベンチャーワールドから車で6,7分。
JR白浜駅からタクシーで3,4分。
白良浜など温泉街から車で10~15分。
駐車場はじゅうぶんあります。

0739-34-2209
和歌山県西牟婁郡白浜町才野16-2
11:30~14:00(L.O.)、
18:00~20:30(L.O.)
月曜日の昼、ディナーは要予約
火曜日、第1・第3水曜日定休(臨時休業あり)
完全禁煙


「ピエン」( Pien):白浜の本気のイタリアン




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この写真だけは別の日(クリスマス)のもの。リストランテの飾り。



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Posted by gadogadojp at 18:00│Comments(0)グルメ
 
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