ホテルニューカマクラの魅力

2016年05月11日

「ホテル ニューカマクラ」は、
たいへん個性的なホテルでしたので、長尺になります。

ホテルニューカマクラの魅力

    駐車場(駅側)から見たホテル本館。

ホテルニューカマクラの魅力

    プラットホーム(大船寄り)から見たホテル本館。手前は駐車場。



ホテルニューカマクラの立地には驚きました。

今春私はたぶん初めて鉄道で鎌倉入りをしました。
JR横須賀線の鎌倉駅プラットホームに降りたときに西側を見やると、
桜咲く駐車場をはさんですぐ目前にホテル(本館)が見えたからです。
その距離50mもありません。

時刻表を見ると、平日の下り電車なら、0時49分の逗子行きが最終電車。
ということは、ホームのアナウンスは、夜中の1時前まで流れるのですから、
ホテルの客室にはその音が直接響くはずです。
これを楽しいと思うかどうか、それがこのホテルに宿泊した満足度の、
一つの試金石になることでしょう。


ホテルニューカマクラの魅力

    客室(1F御成の間)の窓ガラス越しに、ホテルの駐車場とJR鎌倉駅


ホテルニューカマクラの魅力




ホテルニューカマクラの魅力    本館ロビー脇のフロント。チェックインはここではなく、駐車場受付へ。


本館ロビーにフロントはあるのですが、ホテルのチェックインは駐車場の受付で行います。
(駐車場はホテル専用ではなく、一般車も停めることができます。)
スタッフの男性(おそらく支配人)はすこぶる親切で丁寧。信頼感ある接客です。
駐車場受付から、本館と別館が一望できますし、
庭や玄関先を清掃しながら、建物内外に気をくばっておられます。

ただ、上に書いたように、ホテル内でいつも誰かが警備している、という状況ではありません。
門限もなく、24時間出入りが自由です。
以上の説明からあなたは何を感じるでしょうか。
不安に感じたり、他客の出入りの物音がいやだと思う方は、この宿には向かない、ということです。


ホテルニューカマクラの魅力    新館の建物。同じテイストで本館とコーディネート。こちらにはバス・トイレ付き部屋があります。


ホテルニューカマクラの魅力

本館ロビーから二階に上がる階段。


小さなホテルに見えますが、新館もあわせて20以上の部屋があり、それぞれタイプが異なります。
詳しくはホテルのホームページを見てください。
たとえば平日に二人で宿泊すると、1室11,000〜13,000円が最多価格帯。最高で15,000円です。

「ホテル ニューカマクラ」本館は築80年を超えます。
芥川龍之介と岡本かの子が出会った宿としても知られています。
(その頃とは経営者もホテル名も変わっています。)
私たちは、せっかくこの伝統あるホテルに泊まるのだからと、バス・トイレはありませんが、本館を予約することにしました。
電話をしてみると、部屋の希望も可能でした。
庭の桜が窓正面に見えるという二階の<さくら>の間も魅力的だったのですが、<御成(おなり)>という玄関脇の角部屋を選びました。
もっともこのホテルらしい部屋かなと思ったからです。

部屋の入り口近くに、このホテルで撮影された映画『おと・な・り』のポスターが飾ってありました。
岡田准一くんのファンなのでいささかハイになった妻は、
玄関先で准一くんと同じポーズを私にするよう要求しました。
困ったもんです(笑)


ホテルニューカマクラの魅力

   この部屋は<さくら>。泊まった部屋ではありません。奥様撮影。

ホテルニューカマクラの魅力

    <御成>の間の上げ下げ窓。この情緒が素晴らしい。

ホテルニューカマクラの魅力

    スタンドが大正ロマンか昭和レトロか。奥様撮影。

ホテルニューカマクラの魅力

    小ぶりな洗面台。奥様撮影


<御成>はこのホテルの建つ鎌倉市御成町の地名からとっているのでしょう。
御成の由来は、今の市役所や御成小学校に、かつて御用邸があったからです。
このホテルに皇族が泊まったことはないでしょうが、由緒ありげです。

思ったより広い部屋は、二個の大型スーツケースを床に広げることができるでしょう。
設備はシンプルで、ベッド2台と洗面台、冷蔵庫、湯沸かし器、机、そして広めのクローゼットだけ。
でもそのクローゼットの扉の塗装やレトロなスタンドなど、随所に雰囲気を残そうとするホテル側の努力が見えます。
美は細部に宿る、というところ。
しかし前述のように部屋によって広さも設備も違うはずですから、それを楽しまないといけませんね、このホテルでは。


ホテルニューカマクラの魅力




さてこれ以外の特徴をいくつか書いておきます。

本館に泊まる場合はバストイレ付きの部屋はありませんから、そのつど部屋から出ることになります。
トイレも昔の風情を生かしていますが、清潔で温水シャワー式なので心配ありません。
風呂もやや古びた感が否めませんが、問題ありません。二箇所あります。貸切の形になります。

アメニティーは浴衣・タオル、歯ブラシセット。
必要最小限ですから、もちろん自分でいろいろ持っていく必要があります。

食事がついていません。
鎌倉の駅周辺には朝から夜までさまざまな食事処があります。
このブログでもぼちぼちと紹介していきますが、
浴衣姿で食事したい人以外は、とにかく不自由はないでしょう。
ただ、細部に気配りのできるこのホテルで、
もしも将来朝食がいただけるなら、
それはすてきだろうなとは思います。

個性的な宿です。
おもしろい宿です。
しかも心のこもった手入れがなされている宿です。

少々不便なことが多くても、そういう宿がお好きな方にはたまらない宿になるでしょう。

以上


ホテルのホームページ

ホテルニューカマクラの魅力


ホテルニューカマクラの魅力







以下は少々余計な独り言です。
スルーしてくださって問題ありません。


宿は客を選びます。
いえ、宿の支配人が客を選り好みするのではなく、
宿が持つ空間の個性が、客を選ぶのです。
それは文化と言い換えても良いのですが、文化という語感に洗練や文学・アートを感じ取りすぎるとそぐわなくなります。
コンセプトとか設備といっても間違いではないのですが、狭義になりすぎます。
そこでとりあえず空間の個性、とあいまいにしておきます。

個性的な宿になるほど、宿は客を選びます。
機能よりも空間の個性が勝るからです。
無色透明な機能を持つ都会のビジネスホテルなら、それは万人の機能的宿泊に適します。
もっともそれは万人向きだから、大失敗もないかわりに、客じたいの個性には結局のところフィットしません。
1、2泊には便利だ、こんなもんだと自分に思い込ませているだけです。
ビジネスホテルで一生を過ごすのは誰しもごめんこうむりたいはずですから。

しかしここ「ホテルニューカマクラ」のような宿は、
その個性的な空気感がおもしろいかもしれないと好奇心を燃やして泊まるべき宿です。
駅から至近であるとか、予算にぴったりであるなどの理由だけで決めると、
10人中7人は後悔されるでしょう。
そのかわり、これが宿というものだと考え熱烈なファンもおられるでしょう。
その客は、自分の好奇心の型の個性でこの宿の個性を受容したのです。

その場合、十分な満足が得られる宿になるでしょう。



ホテルニューカマクラの魅力

宿のすぐ近くのこの眺めにうっとり。



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Posted by gadogadojp at 07:00│Comments(0)宿/ホテル
 
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